板垣勝彦:行政法
ITAGAKI Katsuhiko : Administrative Law

 

最近の研究テーマ  Recent Research Field

公私協働における国家(公)と民間(私)の役割、 住宅市場と行政法の関係 Role of State and Private in Public Private Partnership. Relation of Housing market and Administrative Law

 

主な担当科目  Courses taught

公法研究Ⅱ/ 公法研究Ⅳ(地方自治法)/ 行政法特殊研究Ⅰ/ 行政法特殊研究Ⅱ

研究内容  Areas of research interest

民営化・民間委託が実施された後に行政が担うべき役割について、ドイツ公法学の「保障行政(Gewährleistungsverwaltung)」という視点から論じるのが、主な研究内容です。
これまで公的部門が担ってきた任務を民間に委ねてしまえば、ともすると、公的部門の役割は終わってしまいそうにも思われます。しかし、決してそうではありません。公的部門には、民間部門がしっかりと役割を果たすことができるように、指示・監視を及ぼすという大切な役割が残されるのです。これを、ドイツ公法学は国家行政の「保障責任(Gewährleistungsverantwortung)」と呼んでいます。保障責任を全うするための行政活動が、保障行政です。
もちろん民間部門は、これまでの「行政の論理」(公益を確保することを最優先として、採算を度外視することも許容される行動原理)ではなく、「民間の市場経済の論理」(採算をとり、収益を上げることを至上命題とする行動原理)によって活動しますから、公的部門による指示・監視の主眼は、情報の提供(行政指導)や補助金・税制優遇措置などを通じて、この「民間の市場経済の論理」を規整・制御することに置かれます。ですから、市場と法との関係も、主要な研究関心です。
特に住宅市場に主眼を置いたのは、1年間、国土交通省に勤務していたこととも関係があります。具体的には、公営住宅の管理(災害公営住宅を含む)、耐震偽装問題が突きつけた諸問題、指定確認検査機関の事務と国家行政の保障責任、紛争リスクが住宅市場に与える影響などを、幅広く取り扱っています。

 

授業内容

年によって若干内容は変わりますが、公法研究Ⅱでは、民営化・民間委託に関する事例研究を行います。最初に数回、私から基本的な知識について授業を行った後、受講生のみなさんに発表をしてもらいます。たとえば、昨年度は、指定管理者に図書館の運営を任せることの法的・政策的なメリット・デメリットについて発表してもらい、活発な討論が交わされました。公法研究Ⅳでは、地方自治法を採り上げます。私から地方自治法の基本的なしくみをお伝えすることが中心となりますが、双方向授業も採り入れています。

博士後期課程の行政法特殊研究では、ドイツ行政法の文献購読を行っています。私の専門である民営化・民間委託に関する文献を念頭に置いていますが、受講生の問題関心に応じて、比較的幅広いテーマの中から選べるようにします。
ドイツ語になじみの薄い方でも、一定程度まで上達できるように、懇切丁寧な指導を行います。 
年度によっては、判例研究を行うことも予定しています。受講生のうち、特にすぐれた判例研究については、公的な研究会での発表や、学術誌に寄稿する機会も設けたいと思っています。

 

教員からのメッセージ

国際経済法学専攻を目指す方へ

授業では、難解な理論を披露するのではなくて、みなさんに基本的な考え方をしっかり身に付けてもらいます。できるかぎりわかりやすく、興味を持っていただけるように、工夫したいと思います。可能な限り退屈しない授業というのが、目標です。
公法研究Ⅱであれば、民間委託の具体的な例を挙げたり、公法研究Ⅳ(地方自治法)であれば、特色ある条例を採り上げるなど、可能な限りイメージをつかんでもらうことが中心です。その上で、現代行政が直面している法的な問題を挙げて、それがどうして問題となっているのか、深く考えてもらうことになります。
ですので、授業の際は、みなさんに積極的に意見・質問を求めます。かりに間違っていたとしても、みなさんが自分の頭で一生懸命考えたことや、みなさんの感覚で抱いた素朴な疑問は、決して無駄にはなりません。そうした非常に価値がある試行錯誤の積み重ねこそ、大学・大学院でしか得られない経験なのです。どうか積極的に、授業に参加して、疑問を持ち、その疑問をみなさん自身の手で解き明かしていってください。

博士後期課程に進学する方は、将来、研究者になることが目的となります。 前期課程からの内部進学だけではなく、他大学の修士課程の修了者も 幅広く受け入れます。ただ、研究者として独り立ちしていくためには、何よりも研究への意欲と、一定の資質が求められます。 みなさんからの相談には幅広く応じていきますので、 早い時期からご連絡を頂ければと思います。 行政法学の奥深い世界を、一緒に体験していきましょう。

 

My favorite

 

ジオラマ模型の作成が趣味です。サンケイリビング誌の表紙に使ってもらったこともあります。研究者の先生方の間でも評判が良かったんですよ。

 

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