横浜法学会 研究会成果報告

横浜法学会 平成27年度第3回研究会成果報告

下記の通り研究会を開催いたしました。

日時

2015年7月13日(月)12:10~12:50

場所
法学研究棟2階201号教室
(横国大HPアクセスガイドよりキャンパスマップN4-5参照)
講師

柳 赫秀 教授

(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)

題目

2015年4月24日静岡地裁『本名強要判決』への断想

 

 

本件は、韓国籍の原告が、就業先の代表取締役の被告から、他の従業員の前で韓国名を名乗るように求められ、また本件訴訟を提起したことなどを理由に業務の変更を命じられ精神的苦痛を受けたとして被告に対して損害賠償を請求したものである。裁判において静岡地方裁判所は被告に対して賠償金の支払いを命じる判決を下した。研究会では、本判決はこれまでの人格権に関する判例・学説から見れば十分に考えられる判決であるとしながら、通称名(日本名)が自己決定権の行使として積極的に認められることについて、近年それが「特権」であるとの異様な批判があることに注意しつつ、日本のマイノリティとしての在日韓国朝鮮人は、民族のアイデンティティの過度の強調が有する抑圧性から「個体を解き放つ必要性(自己決定権の尊重)と、いまだ差別構造が残っている中で在日韓国朝鮮人の集団的アイデンティティで「同化・抑圧」の圧力へ対抗する必要性のディレンマに長らく苛まれてきたことが指摘された。そして国籍付与基準としての「出生地主義」の部分導入と「日本人」でない日本国民を承認する必要があるとの見解が示された。

(柳赫秀)

 

 

お問い合わせ先

横浜法学会
〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-4 横浜国立大学大学院
国際社会科学研究院法学会事務局(法学研究棟3階 N4-5参照)
開室時間 月・木・金10:00~17:00 昼休み12:45~13:45
担当:中川 Tel/Fax 045(339)3632 E-mail: aiblawynu.ac.jp

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