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3. 横浜法学会 研究会 成果報告

日時	2016年2月15日（月）12:10～12：50
場所	法学研究棟2階201号教室 （横国大HPアクセスガイドよりキャンパスマップN4-5参照）
講師	加藤 雅俊　准教授 （横浜国立大学大学院国際社会科学研究院）
題目	現代国家の政治学的分析に向けてー「福祉国家ー国民国家システム」を超えてー

 

 

　経済のグローバル化の進展やポスト工業社会への移行など、経済社会環境の変化に直面し、現代国家は大きく変容を遂げている。しかし、現代政治学は、個別の政策領域や政治制度の変化に注目することで、政治経済秩序全体の変容とそのダイナミズムを十分に捉えることができていない。
　報告では、政治学の観点から、現代の政治経済秩序の特徴を総体的に把握し、その生成メカニズムを統合的に理解するための理論モデルの概略を提示した。具体的には、社会科学の哲学的基礎を探求する批判的実在論に依拠し、アイディアを媒介とした構造と行為主体の相互作用に注目するアプローチを示し（ディシプリンとしての政治学）、特徴把握に関して、「ケインズ主義的福祉国家から競争志向の福祉国家への移行」と捉え、生成メカニズムの把握として、「目標設定局面と支持調達局面を射程に収めたモデル」を提示した。その後の質疑応答では、批判的実在論の可能性と課題、国家の変容に関する評価基準、理論研究と経験分析との関係性、などについて質問がなされ、意見交換が行われた。
　多様な学問的背景をもった多くの方々にご参加いただいただけでなく、有益なコメントや示唆的なアドバイスもいただくことができ、今後の研究の方向性を考える上で大変有意義な時間となった。いただいたコメントやアドバイスは、これからの研究で活かしていきたいと思う。研究報告という貴重な機会を与えてくださったことに、心から感謝申し上げたい。

（加藤雅俊）