横浜法学会 研究会成果報告

横浜法学会 2019年度第1回研究会成果報告

下記の通り研究会を開催いたしました。

日時

2019年4月22日(月) 14:40~16:10

場所
法学研究棟3階305会議室
(横国大HPアクセスガイドよりキャンパスマップN4-5照)
報告者
吉永康樹 氏
(公認会計士・監査法人ナカチ代表社員)
題目
博士学位論文報告
「エクイティ報酬の付与時課税と評価」

 

 平成31年度第1回研究会は、本年3月に博士(国際経済法学)を取得し後期課程国際経済法学専攻を修了した吉永康樹氏による、博士論文の概要と論文に結実した研究過程の概要の報告であった。
 吉永氏の問題意識は、投資スキームのみならず我が国の株式会社でも用いられるようになった報酬形態としてのエクイティ報酬(株式、持分による経営報酬の支払い)が内在する受給者(ファンド・マネジャーや取締役、重要な従業員等)の側での所得課税上の問題点として、エクイティ報酬を用いることによって生ずる課税の繰延べに対してどのように対処すべきか、というものである。

 今回の研究報告では、博士論文の概要として、その問題意識、構成、分析方法、比較法的視座、課税繰延利益の有無などが紹介され、とりわけ博士論文第5章におけるエクイティ報酬の課税時期を評価の側面から分析した議論が報告された。報告においては、我が国の制度的枠組みと米国連邦所得課税の枠組みを比較し、内国歳入法83条や409A条といった我が国所得課税には見られない具体的規定によって制度の安定化が図られている米国に比べて、我が国では関係条文の構造が単純で「権利失効の実質的危険」という中間概念を用いていないことによって、かえって租税上不公平な結果が惹起され得る点が問題点であることが指摘された。報告者は在学中も公認会計士、他大学大学院非常勤講師(「ファイナンス」)として多忙を極めていたが、本研究においては、財務会計やファイナンスと租税法学の融合が多く生かされているとわかる研究内容であった。

 研究会には本学教員・大学院生のみならず他大学教員も参加され、報告者との間で多くの質疑が交わされた。なお、吉永康樹氏の博士論文は、本学レポジトリに収録され公開される予定である。

(文責:本専攻教授・川端康之)

 

お問い合わせ先

横浜法学会
〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-4 横浜国立大学大学院
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担当:中川 Tel/Fax 045(339)3632 E-mail: aiblawynu.ac.jp

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