横浜法学会 研究会成果報告
横浜法学会 2024年度 第3回研究会成果報告
下記の通り研究会を開催いたしました。
日時 |
2025年 1月23日(木)14:40~16:10 |
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場所 |
横浜国立大学法学研究棟 2階 202教室(キャンパスMAP N4-5) |
報告者 |
山本 展彰氏(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院講師) |
題目 |
法における因果関係と責任:法哲学的視点から |
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令和6年度第3回研究会では、山本展彰講師(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院)による「法における因果関係と責任:法哲学的視点から」と題する報告と、それに基づく議論が行われた。
山本講師は、まず、法における因果関係と責任の関係に関する従来の法哲学における議論を批判的に検討し、Hart and Honoréの見解に対して、法における因果関係の判断枠組みに含まれる通常性概念の文脈依存性により理論的に成立し難い点等を、Mooreの見解に対して、法的責任の多義性を無視しているため、例えば因果関係なく課されうる法的責任を位置付けることが困難となる点等を、それぞれ指摘した。
続いて、瀧川裕英によって提示された法における責任概念の批判的分析を踏まえて、因果関係によって基礎づけられる法的責任が概念的に限定されることを示した。
さらに、認識論的因果関係論が主流となっている哲学における因果関係論を紹介したうえで、認識論的因果関係論を法における因果関係に応用し、かつ反事実的に判断される必要原因に加えて通常性概念によって判断される十分原因を導入したJ. Halpernの示す定式について考察を加えた。この考察から、山本講師は、J. Halpernの示す定式について、通常性概念を合法性概念に置き換える修正を行うことに通じて法における因果推論を定式化する可能性を示し、法における因果関係と責任の関係を非還元的に提示しうるとの結論を示した。
山本講師の報告を受けた議論においては、ゴミ処理場をめぐる具体的事例を素材とした質問や、民事法、刑事法、さらには国際法分野にまで及ぶ広範な射程をもつ報告内容の含意を問う質問などを起点として、多岐にわたる議論が活発に展開された。
宮澤 俊昭(国際社会科学研究院教授)
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