横浜法学会 研究会成果報告

横浜法学会 2025年度 第2回研究会成果報告

下記の通り研究会を開催いたしました。

日時
2025年8月21日(木)10:30~12:00
場所
ハイブリッドにて開催
zoomおよび横浜国立大学法学研究棟2階202教室 (キャンパスMAP N4-5)
報告者

朴 仁煥先生
Professor, Faculty of Law of the University of Inha,Korea

題目

韓国ホスピス延命医療決定法施行
8年の評価と最近の動向

 

 

報告要旨:
韓国の延命医療決定制度は、過去の家族中心の医療慣行と社会の変化を経て、2016年に「ホスピス・緩和医療及び臨終過程にある患者の延命医療の決定に関する法律」として制定された。この法律は、臨終過程にある回復不能な患者に限り、心肺蘇生術や人工呼吸器などの特殊延命医療の中止・保留を認めている。患者の自己決定権を保障するため、「事前延命医療意向書」と「延命医療計画書」が導入された。本人の意思確認が困難な場合は、家族2人以上の陳述による意思推定や、家族全員の合意による代行決定が認められる。2025年8月21日現在、延命医療意向書登録者は約300万人、延命医療計画書登録者は約17万人で、延命医療の中断決定は44万件以上履行されている。しかし、末期患者と臨終患者の区別が不明確なため、延命医療中断の対象を末期患者に拡大すべきとの議論が進められている。

質疑応答:
朴教授の報告に続いて、①日韓の終末期医療法制に関する政府の対応の相違、②韓国の法制化に至る社会的コンセンサス形成の過程、③韓国の成年後見人の医療同意、終末期医療の決定権限の有無などに関して活発な議論が行われた。本件は日韓のみならず各国が直面する社会的課題であり、法学の重要な検討対象である。

櫻井幸男(横浜国立大学地域連携推進機構学外協力者)

 

お問い合わせ先

横浜法学会
〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-4 横浜国立大学大学院
国際社会科学研究院法学会事務局(法学研究棟4階 N4-5参照)
開室時間 月・木・金10:00~17:00 昼休み12:45~13:45
担当:中川 Tel/Fax 045(339)3632 E-mail: aiblawynu.ac.jp

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